女性ホルモンと歯周病の関係
こんにちは。歯科医師の井場です。
今回は「女性ホルモンと歯周病」
についてお話したいと思います。
まず歯周病(歯肉炎・歯周炎)は、お口の中にある細菌感染によって引き起こされる炎症性の病気で、
歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。
この歯周病がなんと、体から分泌されるホルモンによって影響を受けることがわかってきています。
女性は生涯に幾つかの説目となる時期を経験します。
ここで起こるホルモンバランスの乱れは口の中の組織や粘膜にも影響するため、
女性は男性に比べて歯周病がひどくなりやすい傾向があります。
ここから歯周病に影響をもたらす時期についてふれていきます。
1.思春期
この時期は女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)がたくさん分泌される時期です。
これらは歯石や炎症を増やすように働きます。
心身ともに敏感になり過剰に口臭を気にすることもあります。
家族や周囲のメンタル面でのサポートが必要になってきますので、この時期に定期的に歯科医院に通う習慣ができると良いです。
2.妊娠・出産期
この時期は30-70%の人に歯肉炎がみられます。
妊娠によってホルモンバランスが変わるため、口の中にも影響をもたらします。
妊娠中は女性ホルモンのプロゲステロンが増加します。
つわりなどで歯磨きが大変になり虫歯にもなりやすくなります。
吐き気が強く歯磨きが難しい場合はうがいや洗口剤の使用がオススメです。
また、歯周病は早産の原因にもなりますので、妊娠中も定期的な歯科医院への通院が大切です。
出産後は赤ちゃんに合わせた不規則な生活となり、よりお口の中の細菌が増えやすい環境になるので注意が必要です。
3.更年期
閉経によって女性ホルモンの分泌が低下していきます。
更年期障害などが原因となり唾液の出る量が減ってお口の中が乾きやすくなり、
乾燥することで細菌が増え、虫歯や歯周病にかかるリスクが徐々に大きくなっていきます。
また、閉経後は女性ホルモンが減ることで骨そしょう症が進むため、歯を支えている骨にも影響をもたらします。
このように女性特有のホルモンはお口の中に強く影響を与えます。
今までと同じように生活していても、お口の環境が変わることがあります。
何か気になることがあればいつでもお尋ねください。
今回は「女性に知ってもらいたい 0歳から100歳までの歯の教室」という本を読んでみました。
今後の私の担当するブログでは歯周病についてもっと詳しくお話できればと思います。