フェルールって何?~歯を救うのは、フェルールの高さです~
こんにちは。歯科医師の長澤です。
今回は、クラウン(歯を全部覆う被せもの、差し歯)を作る際、歯の寿命を左右するフェルールのお話をします。
〇フェルールって何?
クラウンなどのフィニッシュライン(被せものの縁)から残っている歯を抱え込む部分を指します(クラウンを接着する際の糊しろのような部分です)。フェルールの部分をクラウンで把持する(抱え込む)ことによってクラウンの脱落や歯の根っこの破折に抵抗することをフェルール効果といいます。
深くむし歯が進んでしまっている場合、根っこの治療の後にクラウンを選択することが多いですが、クラウンの脱離防止、歯の根っこの破折防止のためには、このフェルールの高さが重要になります。
(ペントロンジャパン社HPより)
〇どの位の高さのフェルールが必要でしょうか?
歯ぐきの奥深くまでむし歯が進んだ場合、残っている歯が少ない場合があります。そこで、どのくらいのフェルールの高さがあれば歯の根っこが破折しにくいかを調べた実験があります。それによると、2ミリ以上のフェルールがあると、フェルールがない歯より2倍も破折しにくいと報告されています。
(『補綴・咬合の迷信と真実』より引用)
それでは、フェルールが短い場合はどうすればよいでしょうか?
(『明日から使えるMTM』より引用)
こうなってしまうと無理に残してもクラウンの脱離や歯の根っこの破折のリスクもあるため、ケースによっては抜歯の対象となりますが、
当院では、エクストルージョンをお勧めしています。
〇エクストルージョンとは?
歯ぐきの中に残った歯の根っこをゴムで引っ張り上げることでフェルールを確保し、クラウンをつくることができる状態にする治療法です。
(『明日から使えるMTM』より引用)
保険適応外の診療となり、その後のクラウンも保険外のものとなります。また、エクストルージョンを行ってからクラウンを被せるまでには数か月の治療期間が必要となります。しかしご自身の歯を残せる可能性が高まるため、その価値は高いと思います。他院で抜歯と言われた方も、残せる場合がありますので一度ご相談ください。
ただ、ここまでむし歯が進行する前であれば治療も簡単で短期間に終わるので、ご自身で毎日の歯磨きを行い予防をしっかりすること、
定期的な通院により早期発見、早期治療を行うことが何より大切だと思います。
今回参考にした書籍はこちらになります。
定期的な検診をご希望の際は、歯科医師5人、衛生士7人在籍のにお気軽にお問い合わせください。