お口の中、歯を離してリラックスしてますか?
こんにちは、歯科医師の長澤です。
突然ですが、TCH、聞いたことありますか?
TCH(Tooth Contacting Habit)「日中歯列接触癖」とは、上下の歯を不必要に接触させる癖のことで、
顎関節症や、さまざまなお口の痛みの原因の一つになっているとされています。
患者様を診させていただくと、歯の痛みの要因の一つとしてTCHが考えられることがあります。
今回、「顎関節症とかみ合わせの悩みが解決する本(木野孔司著、講談社)」を読み、
食いしばりや歯ぎしりといった強い力でなくても、悪い影響があることがよくわかりましたのでご紹介します!
お口の中、歯を離していますか?
人は普段、上下の歯は接触していません!
この時の上下の歯のすき間を安静空隙といい、1~2ミリ空いています。
上下の歯は会話、食事をするときに瞬間的に触れ合うだけで、接触時間は一日わずか20分以下が正常と言われています。
ですが、長時間のパソコン作業やゲームをしている時、集中して家事をする時、精神的にストレスを抱えている時等、TCHを保有している方は歯を接触させています。思い当たる方はいませんか?私自身も診療中に歯を噛みしめてしまう癖があるのですが…歯科検診を受けた方の2割がTCHを保有していたとの調査あり、決して珍しくはありません。
TCHにはどんなリスクがあるのでしょうか?
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顎関節症
歯が接触している間は口を閉じる筋肉が活動し続けるため、長時間になると当然疲労してきます。
また顎関節の負担が増大し、顎関節が痛みを感じやすくなります。
さらに、筋肉による首や肩のコリにもつながることもあります。
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歯周病の進行
歯周病は、プラークという歯にくっつく細菌の固まりにより引き起こされます。
歯ぐきの中にまで細菌が入り込み、炎症が広がると、やがて歯を支えている骨も吸収されて歯はぐらぐらになってしまいます。
このような歯にTCHによる力が加わると、歯のぐらつきとともに急速に歯を支える骨がなくなり、やがて抜けることもあります。
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歯の咬耗、破損
咬む面が削れてすり減ったり、欠けたりします。歯の根っこが破折することもあります。
根っこが折れてしまった場合は折れ方によっては抜歯となってしまいます。
TCHの改善方法
TCHを止める最も効果的な方法は、歯を離すことを意識することです(但しぽかん口にならないよう唇は閉じます)。
忘れないようにするために、「歯は離して力を抜く」など書いた張り紙をパソコンやテレビに貼る方法もあります。
繰り返すことで歯が接触すると無意識に離すようになります。
就寝中の噛みしめについてはマウスピース治療も一つの方法で、歯の保護には有効です。
しかしTCHを保有したままだとマウスピースを強く噛みしめてしまい、かえって症状が悪化することもあります。
日中のTCHを軽減することで夜間の噛みしめも軽減されると考えられますので、
まずは会話、食事以外は歯を離して、リラックスすることがおすすめです。
また、頬杖をつく、いつも同じ向きで寝るといった姿勢の癖も、顎や歯に大きな負担がかかるのでやめましょう。
最近はやっと暖かくなってきましたが寒い日などにもくいしばりが起きてしまいます。
朝晩も顎と歯のためにくいしばらないように気を付けてみてください!
ぜひ参考にしてみてくださいね!